【不動産投資】既存不適格物件はローンが通る?定義やメリット・デメリットを解説します!

こんにちは!ライフアートエージェンシィです!

物件を探していると、人気エリアなのに不思議なくらい利回りが高い!と思ったら、実はその物件が「既存不適格」だった、なんて経験がある方もいるのではないでしょうか。

既存不適格という言葉からは、どこかマイナスなイメージが連想されがちですが、とはいえ利回りの高さは魅力的です。

ローンが問題ないなら購入したい!という投資家も多いのではないでしょうか。

今回は、融資について、その他購入することのメリット・デメリットなども併せて解説します!

この記事を読むとわかること

・既存不適格とは

・既存不適格となる理由

・既存不適格の物件を購入してもよい場合

既存不適格とは

既存不適格の定義

既存不適格とは、建築当時は適法だったものの、その後の法令改正や都市計画変更などによって、現在の建築基準法に違反してしまっている建物のことです。

建築基準法では、原則として、建物全体が着工時の法律に適合していることが要求されます。一方で、昭和25年に公布・施行された建築基準法は、現在までに何度も改正されています。そのため、中古物件の場合、既存不適格となっていることはそれほど珍しくありません。

既存不適格の建物は事実上違法の状態ですが、すぐに建て替えなどをする必要はなく、そのままの状態で住んだり賃貸したりし続けることができます。ただし、建て替えや増改築をする際には、原則として現在の法令に適合するように建築しなければなりません。

違反建築との違い

既存不適格と似て非なるものとして「違反建築」があります。

違反建築とは、建築基準法や都市計画法などに違反して建築された建物のことです。建物を建築した当初から法令に違反しているケースや、増改築工事などを行った時に法令に違反したケースがあります。既存不適格が建築時には適法だったのに対し、違反建築は建築時に法令に反して建てられているという点で明らかに異なっています。

既存不適格物件となる理由

– 耐震基準の変更によるもの

既存不適格物件となるケースで多いのが、それまでの耐震基準を大幅に見直される形で1981年6月1日に施行された新耐震基準に適合しなくなった物件です。新耐震基準によってそれ以前の耐震基準よりも大地震で倒壊しにくい建物の建築が求められるようになりました。よって、新耐震基準の施行以前に建てられた建物の多くがその基準を満たしていないために既存不適格物件となる可能性が高いといえます。

– 建ぺい率や容積率の変更によるもの

建ぺい率や容積率は都市計画法やその他の法令、条例などにより定められていますが、その要件が変更される場合があります。従って、建物が建築された時点で適法だったとしても、その後の改正により厳しくなった建ぺい率・容積率の制限に適合しなくなった場合には既存不適格物件とされることがあります。

– 高さ制限の変更によるもの

建物の高さに関する制限についても都市計画法やその他の法令、条例などにより定められており、同様に法令の見直しによって高さ制限が変更されることがあります。高さ制限についても同様に変更後の条件に合わなくなれば、たとえ建築時に適法であっても既存不適格物件となってしまうケースが考えられます。

– 建築基準法の道路が幅員4m以上と定められたことによるもの

建物の接道については、建築基準法の改正によりそれまでは「2.7m以上の道路に接していなければ建築することができない」という古い規定から「4m以上の道路に接しなければならない」という規定に変更されて現在に至っています。旧規定に基づいて適法だった物件でも、現在の規定に満たなければ既存不適格物件になる可能性があります。

購入前に注意したい既存不適格の3つのリスク

既存不適格の物件は違反建築とは異なり、そのまま使用することは認められています。しかし、売買や建て替え・増改築などにおいてデメリットがあるため、不動産投資で購入する前にはそれらを認識しておくことが重要です。この章では、既存不適格物件を購入する前に確認しておきたいリスクを解説します。

融資が受けづらい

既存不適格の場合、違反建築ほどではありませんが、金融機関に融資を渋られることがあります。問題なく融資を受けられるケースもありますが、金利を高めに設定されたり、通常より自己資金を多く求められたりすることもあります。購入時の資金調達には苦労する可能性があると考えておきましょう。

もちろん、融資を使わずに現金で購入するという選択肢もありますが、融資が出づらい物件であれば売却が難しくなります。金融機関からの融資が出ず、現金で購入できる新買主もなかなか見つからない場合、売却価格を下げざるを得ません。既存不適格の物件を自分が購入できたとしても、将来売却できるのかという出口戦略の面までリスクを検討する必要があります。

売却価格が安くなりがち

融資が難しい既存不適格物件や、再建築時の規制が厳しいなどの理由で需要が低い既存不適格物件は、売却に苦労する可能性が高いです。高い価格で売ることは難しいため、売却益を狙うのではなく、できるだけ安値で買って高利回りで稼ぐという戦略が妥当です。

出口戦略を考える上では、既存不適格物件を購入する時に、「不動産業者が売主か、仲介か」というのを一つの判断基準にすることができます。買取再販業者の場合、一度物件を所有することはそれなりのリスクがあるため、売りづらい物件はそもそも購入しません。買取再販業者が仕入れた既存不適格物件であれば、融資がつく目途が立っているなど、比較的出口戦略をとりやすい物件であると考えられます。

建て替えや増改築が難しい

既存不適格の建物は、すぐに是正する必要はありません。ただし、建て替えたり、増改築工事を行ったりする際には、現行の法令に適合するように建築しなければなりません。

しかし、現行法に適合させるように建て替えや改築を行うのは、場合によっては簡単ではありません。既存不適格で容積率の制限や日影規制をオーバーしている場合、建て替えや改築後には現状よりも建物の大きさを小さくしたり、高さを低くしたりしなければならないことがあります。

建て替えや改築時には現在よりも不利な条件の建物しか建てられないとなると、将来的な売却にも悪影響が及びます。既存不適格の物件を買う前には、再建築・改築時にどのような規制があるかを確認しましょう。

既存不適格の物件を購入してもよい場合

これらのリスクを排除できたり、考慮した上でも価格が安かったりする場合は、投資対象として問題ありません。本章では、購入してもよい既存不適格物件の特徴を紹介します。

金融機関から問題なく融資が出る場合

既存不適格の物件を購入する際、購入価格だけでなく是正工事費用を含めて考慮しても利回りが十分高いと判断できるならば、投資対象としてよいでしょう。

既存不適格の物件は違法建築とは違うため、基本的に直ちに是正工事をする必要はありません。しかし、現状の法令に不適格な状態であるため、そのまま使用していれば、何かしらのリスクは存在し続けることになります。将来のいずれかのタイミングで既存不適格の是正工事をすることを考えると、購入時にはその費用を含めて検討しなくてはなりません。

例えば、エレベーターの既存不適格です。

前述の通り平成21年にエレベーターの安全に係る技術基準の見直しが行われ、建築基準法が改正されました。これにより、平成21年以前に設置されたエレベーターのほとんどが既存不適格となっています。したがって、エレベーターが設置されている築古の一棟マンションなどを購入する際には、その是正工事費用を見込んでおきましょう。

実際に例を挙げて考えてみます。購入価格1億円、利回り10%の物件の場合、仮にエレベーターの既存不適格是正工事に1,000万円を要するとすると、実質的な利回りは約9.1%になります。

既存不適格の物件は、価格だけみれば相場より安い場合が多いです。しかし、実際には是正工事等で追加の費用がかかることがあります。購入を検討する際にはそれらの費用まで含めて計算し、「相場と比べても本当に良い物件か?」を判断してください。

好立地で更地として高値で売却できる目途がつく場合

既存不適格の物件は再建築や増改築に不利な制限が課されるケースが多く、売却が難しい傾向にあります。しかし、その物件が好立地であり、更地にして土地として高値で売却できる見込みがある場合は、出口戦略として非常に魅力的です。

好立地かつ再建築によって特に支障なく建物を建てられる土地であれば、問題なく売却できるでしょう。もし既存不適格の建物ということで安い価格で購入できるなら、更地にして売ることで売却益も狙える可能性もあります。

既存不適格の物件を購入する前には再建築時の制限についてきちんと確認し、土地として売却するという出口戦略が描けるかも検討しておきましょう。

是正工事費用等を含めても金額が相場以下の場合

既存不適格の物件を購入する上での問題点の一つが、前述の通り、金融機関からの融資を引き出しにくいという点です。しかし、すべての既存不適格の建物に対して融資が出ないわけではありません。融資が出る既存不適格であれば、出口戦略に関してはある程度安心できるでしょう。

では、どのような既存不適格であれば金融機関からの融資が出るのでしょうか。廊下幅が規定に満たない、などは、問題なく融資が出るケースが多いようです。また、既存不適格としてよくある容積率オーバーについては、金融機関によって融資基準があります。ある銀行では、現行の規定を満たすように再建築した場合の戸数をもとに収益性・評価額を判断し、融資額を決めるようです。(※収益還元法で評価する場合)

具体例として、現在総戸数8戸で各部屋の家賃が5万円の物件を考えます。この物件が容積率オーバーの既存不適格であり、現行法に合致するように再建築すると(部屋の大きさなどは変わらないとして)、総戸数が6戸になるとします。この場合には、本物件の収益性を現状の5万円×8戸で計算するのではなく、5万円×6戸で計算し、それをもとに融資額が決められます。

なお、関西地域ではもともと違反建築や既存不適格が多いという背景から、関東など他の地域に比べて、これらの物件に対して融資が出やすいようです。

まとめ

既存不適格物件となる理由

・耐震基準の変更によるもの

・建ぺい率や容積率の変更によるもの

・高さ制限の変更によるもの

・建築基準法の道路が幅員4m以上と定められたことによるもの

購入前に注意したい既存不適格の3つのリスク

・融資が受けづらい

・売却価格が安くなりがち

・建て替えや増改築が難しい

既存不適格の物件を購入してもよい場合

・金融機関から問題なく融資が出る場合

・好立地で更地として高値で売却できる目途がつく場合

・是正工事費用等を含めても金額が相場以下の場合

既存不適格には様々な種類がありますが、それらの物件は一般的に価格が安いことが多いです。不動産投資家にとっては魅力的ですが、主に出口戦略をとりにくく、売却価格が安くなりがちであるというデメリットがあります。

そのため、既存不適格の物件に投資するのであれば、「できるだけ安く買って利回りを高くし、最低限売却できる目途は立てておく」という戦略がよいでしょう。

ただし、本記事で購入してもよい既存不適格の例をいくつか紹介しましたが、この戦略は初心者にとっては難易度が高いといえます。そのため、初心者であれば既存不適格の物件は購入を避けた方が無難かもしれません。

不動産投資について相談してみたいという方はライフアートエージェンシィにもお気軽にご相談ください。

相談はこちら

公式LINEからも相談受け付けています。

公式LINEはこちら

この記事を書いた人

ライフアートエージェンシィ

東京都目黒区下目黒の不動産会社です。
不動産売買、仲介、管理をはじめ、融資サポートなどお客様のための手厚いサポートを強みにしています。
公式LINEでは高利回り物件や、知って得する不動産知識を紹介しています。